トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「例えば君に一目惚れをしたとか、そういう理由なら話しやすいんだけど、
少なくともあの時点の俺は君のことを考えて行動したわけじゃなくて」
彼女が眉を寄せて俺を見上げる。
「あの時篤さんは、兄を好きな私を応援したくなったと言ってくれましたけど、あれは嘘だったんですか?」
「嘘じゃないけど、君のその気持も含めて
……ちょうど良かった。足りないピースを見付けたような気がした。」
「ちょうど良いって、何にですか?」
その声は俺を責めるように発せられた。
確かに、自分の気持ちを “ちょうど良かった” と言われたら良い気はしないだろう。
「拓真にだよ」
拓真の名前を出すと、彼女は不安そうに瞳を揺らす。
「瑞希ちゃんは拓真のこと、どんな奴だと思う?」
「どうして、今さらそんなことを」
「いいから」
「兄は……優しくて、格好良くて。
実直で、努力家で、真面目すぎるところもあるけど周りの人には凄く好かれていて。
両親が生きてた頃は、血の繋がりとか関係なく本当に自慢の息子だって。」
「うん、そうだよね。
理想的な息子、
妹思いの兄、
まさにそんな感じ。
俺から見たらあいつは、求められる役割があれば何だって周りが望む姿になれるように見える。
役者の仕事でも、自然と役に入るし。」
少なくともあの時点の俺は君のことを考えて行動したわけじゃなくて」
彼女が眉を寄せて俺を見上げる。
「あの時篤さんは、兄を好きな私を応援したくなったと言ってくれましたけど、あれは嘘だったんですか?」
「嘘じゃないけど、君のその気持も含めて
……ちょうど良かった。足りないピースを見付けたような気がした。」
「ちょうど良いって、何にですか?」
その声は俺を責めるように発せられた。
確かに、自分の気持ちを “ちょうど良かった” と言われたら良い気はしないだろう。
「拓真にだよ」
拓真の名前を出すと、彼女は不安そうに瞳を揺らす。
「瑞希ちゃんは拓真のこと、どんな奴だと思う?」
「どうして、今さらそんなことを」
「いいから」
「兄は……優しくて、格好良くて。
実直で、努力家で、真面目すぎるところもあるけど周りの人には凄く好かれていて。
両親が生きてた頃は、血の繋がりとか関係なく本当に自慢の息子だって。」
「うん、そうだよね。
理想的な息子、
妹思いの兄、
まさにそんな感じ。
俺から見たらあいつは、求められる役割があれば何だって周りが望む姿になれるように見える。
役者の仕事でも、自然と役に入るし。」