トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
その時やっとスタッフの人が流れ込むようにここにやって来て、その人を取り押さえてくれた。
兄の側に駆け寄って容態を確かめる。
「お兄ちゃん……大丈夫!?」
「みず……っ、」
言葉の途中で苦しげに咳き込んだ。お腹の出血が酷いので、ハンカチで押さえる。手と太股にも傷があった。
「ごめんな」
血の気が引いた兄が、掠れた声で呟く。なんで謝るの。こんなになってまで私を護ってくれたのに。
「ありがとう。もう全部、大丈夫だから。」
救急スタッフの人が担架で兄を運んでいく。
そこから先のことはあまり覚えていなくて、気が付くと私も医務室で寝かされていた。
目が覚めてから、兄の母親を名乗るあの人も、盗聴器を仕掛けた人も、どちらも警察に連行されたと聞いた。
危うく兄も同じように連行される寸前で、篤さんや山瀬さんが働きかけてくれなかったら、どうなっていたか分からなかったとも。
私を助けに来てくれる前に、普段の兄から考えられないような事をしていたそうで、それを聞いた時には心臓が痛くなった。
兄の側に駆け寄って容態を確かめる。
「お兄ちゃん……大丈夫!?」
「みず……っ、」
言葉の途中で苦しげに咳き込んだ。お腹の出血が酷いので、ハンカチで押さえる。手と太股にも傷があった。
「ごめんな」
血の気が引いた兄が、掠れた声で呟く。なんで謝るの。こんなになってまで私を護ってくれたのに。
「ありがとう。もう全部、大丈夫だから。」
救急スタッフの人が担架で兄を運んでいく。
そこから先のことはあまり覚えていなくて、気が付くと私も医務室で寝かされていた。
目が覚めてから、兄の母親を名乗るあの人も、盗聴器を仕掛けた人も、どちらも警察に連行されたと聞いた。
危うく兄も同じように連行される寸前で、篤さんや山瀬さんが働きかけてくれなかったら、どうなっていたか分からなかったとも。
私を助けに来てくれる前に、普段の兄から考えられないような事をしていたそうで、それを聞いた時には心臓が痛くなった。