トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
Interlude 手紙
瑞希へ
急にいなくなってすまない。勝手な言い分になるが、どうか気に病まないでほしい。
本当はもっと前から、俺は君の側にいない方が良いと思っていました。
そう思ってはいたものの、離れがたい気持ちはどうしようもなく、あと少し、もう一日と瑞希と一緒に過ごす日々をいつまでも引き伸ばしていたのです。
結果としてそれが母親の狂気じみた行動の引き金となりました。瑞希にまで危険が及んでしまい、今は自分の至らなさを悔いています。
さて、瑞希には長い間伏せていた昔の話になりますが、俺は幼いころあの母親と二人で生活していました。
しかし、当時から母親の心はある男性、俺にとっての父親のことで占められていました。それが恋愛感情なのか、もっと焦げ付いた執着心なのか俺には分かりません。
母親には、あなたさえいなければとよく言われていたので、俺の存在が母と父との関係を壊したのだと思いますが、詳しい理由は知りません。
俺は疎まれて育った子供でしたが、幸せなことに義父さん、義母さんがあの家から救い出してくれたので、そこから先は瑞希もよく知る通りです。
黒須家に来てからは、身に余るほどの幸せを貰いました。
急にいなくなってすまない。勝手な言い分になるが、どうか気に病まないでほしい。
本当はもっと前から、俺は君の側にいない方が良いと思っていました。
そう思ってはいたものの、離れがたい気持ちはどうしようもなく、あと少し、もう一日と瑞希と一緒に過ごす日々をいつまでも引き伸ばしていたのです。
結果としてそれが母親の狂気じみた行動の引き金となりました。瑞希にまで危険が及んでしまい、今は自分の至らなさを悔いています。
さて、瑞希には長い間伏せていた昔の話になりますが、俺は幼いころあの母親と二人で生活していました。
しかし、当時から母親の心はある男性、俺にとっての父親のことで占められていました。それが恋愛感情なのか、もっと焦げ付いた執着心なのか俺には分かりません。
母親には、あなたさえいなければとよく言われていたので、俺の存在が母と父との関係を壊したのだと思いますが、詳しい理由は知りません。
俺は疎まれて育った子供でしたが、幸せなことに義父さん、義母さんがあの家から救い出してくれたので、そこから先は瑞希もよく知る通りです。
黒須家に来てからは、身に余るほどの幸せを貰いました。