トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
箱にかかっている青いリボンをとくと、キラキラと輝く華奢なチェーンのついた一粒石のネックレスが入っていた。


「きれい……」


箱から取り出して目の前にかざすと、留め金の裏に小さくmizukiと刻印されているのが見える。


「Te Amo?」


「ラテン語だな、後で意味を調べておくといいよ。」


こんなに綺麗なプレゼントを用意してくれていたのに、その兄はもうここにはいないんだ。


「逢いたいな」


色々と文句を言ってみたものの、結局兄に一番言いたいのはそのことだけ。


「うん、そうだね。」


あふれた涙は、篤さんの肩が受け止めてくれた。背中をとんとんと優しく叩かれる。


「篤さんにはいつも、甘やかしてもらってばかり。」


「気にしないでいいよ。

君が立ち直るまで甘えていい。」


「それはだめです。この先もずっと立ち直れる気がしないから。」


「駄目じゃない。もし君がずっと落ち込んだままなら、一生、君を甘やかし続けるよ。」
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