トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「私だって仕返ししますよ。もし同じことしたら困るのは篤さんの方です。撮影の時に困ればいい。」
「そんな度胸があればやって良いけど、むしろ大歓迎。
その結果俺がどうなるか知らないけど。」
篤さんがシャツのボタンを開けて、首を傾けて私の顔の前に近づけた。首筋から記憶に馴染んだ甘い香りが広がる。
私はその首筋に噛みつくかわりに、篤さんの頬に自分の頬を触れ合わせた。
「え……?」
篤さんが目を瞬いたのか、睫毛が動いて私の瞼をくすぐった。私が急にこんなことをしたから、きっと凄く驚かせてしまったんだ。
「篤さんを思う気持ちは、感謝だけでもなくて、ごめんなさいっていうのも違くて、もっと温かで少しだけ苦しくもあって。
うまく言えないです。自分でもわからなくて。
でも、もし私が原因でつらい思いをしていたら嫌なんです。」
「そんな心配はいらないから、もう来るなとは言わないで。
つらい思いなんかしてないけど、君から貰える感情なら、結局のところ何でも欲しい。つらい気持ちも味わってみたいかも。」
篤さんが頬をゆっくりと離して、目を見つめながら続きを言った。
「今言ってくれたこと、すごく嬉しかった。
わからないままでいいよ。
俺たちの関係にも、その気持ちにも、名前は要らない。」
小さく頷くと、強く抱き締められた。痛いくらいに締め付けられる肩や背中から、篤さんの想いが伝わってくるようで。
私の混沌とした気持ちもきっと伝わっている。首に手を回すと、さらに強い力で抱き締められた。
「困ったな。決心が鈍りそう。」
「え?」
「何でもない。聞き流して。」
篤さんはそう言って長い間私を見下ろし、そっと唇を重ねた。私は、それを拒まなかった。
「そんな度胸があればやって良いけど、むしろ大歓迎。
その結果俺がどうなるか知らないけど。」
篤さんがシャツのボタンを開けて、首を傾けて私の顔の前に近づけた。首筋から記憶に馴染んだ甘い香りが広がる。
私はその首筋に噛みつくかわりに、篤さんの頬に自分の頬を触れ合わせた。
「え……?」
篤さんが目を瞬いたのか、睫毛が動いて私の瞼をくすぐった。私が急にこんなことをしたから、きっと凄く驚かせてしまったんだ。
「篤さんを思う気持ちは、感謝だけでもなくて、ごめんなさいっていうのも違くて、もっと温かで少しだけ苦しくもあって。
うまく言えないです。自分でもわからなくて。
でも、もし私が原因でつらい思いをしていたら嫌なんです。」
「そんな心配はいらないから、もう来るなとは言わないで。
つらい思いなんかしてないけど、君から貰える感情なら、結局のところ何でも欲しい。つらい気持ちも味わってみたいかも。」
篤さんが頬をゆっくりと離して、目を見つめながら続きを言った。
「今言ってくれたこと、すごく嬉しかった。
わからないままでいいよ。
俺たちの関係にも、その気持ちにも、名前は要らない。」
小さく頷くと、強く抱き締められた。痛いくらいに締め付けられる肩や背中から、篤さんの想いが伝わってくるようで。
私の混沌とした気持ちもきっと伝わっている。首に手を回すと、さらに強い力で抱き締められた。
「困ったな。決心が鈍りそう。」
「え?」
「何でもない。聞き流して。」
篤さんはそう言って長い間私を見下ろし、そっと唇を重ねた。私は、それを拒まなかった。