トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「どうしたの、そんなにじっと見て。そんなに格好いいか?」
私の視線に気がついた篤さんは、いつもの飄々とした態度に戻って笑った。猫のように目を細めると、スッと整った鼻筋とシャープな顎のラインが印象的だった。
「ふふっ。本当に格好いい人がそういうこと言うのは、ずるいと思うんですけど。
でも篤さんは、格好いいって言われるのうんざりしませんか?」
「まさか!そんな奴いるの?
俺は誉め言葉はいくらでも欲しがるタイプだから、いくらでも格好いいと言って良いんだよ?」
茶化すように話すので余計に笑ってしまう。
「兄は、格好いいって言われる度に困ってたから。」
「あいつはそんな感じだよな。
『いえ、自分はそのようなことは。……恐縮です』
とか言いそう。」
篤さんは冗談で言ったと思うんだけど、兄の真似が似すぎてて体が硬直した。
声の高さまで変えて、俳優さんってこんなことまでできるのと驚くくらい、その話し声は兄に似ていた。
食い入るように篤さんを見つめると、篤さんは、私の目を隠してもう一度兄の真似をする。
『瑞希、そんな辛そうな顔をするなよ。今日は誕生日だろ?』
目を閉じると兄の気配まで思い出して、閉じられた瞳から涙が滲んで溢れる。
私の視線に気がついた篤さんは、いつもの飄々とした態度に戻って笑った。猫のように目を細めると、スッと整った鼻筋とシャープな顎のラインが印象的だった。
「ふふっ。本当に格好いい人がそういうこと言うのは、ずるいと思うんですけど。
でも篤さんは、格好いいって言われるのうんざりしませんか?」
「まさか!そんな奴いるの?
俺は誉め言葉はいくらでも欲しがるタイプだから、いくらでも格好いいと言って良いんだよ?」
茶化すように話すので余計に笑ってしまう。
「兄は、格好いいって言われる度に困ってたから。」
「あいつはそんな感じだよな。
『いえ、自分はそのようなことは。……恐縮です』
とか言いそう。」
篤さんは冗談で言ったと思うんだけど、兄の真似が似すぎてて体が硬直した。
声の高さまで変えて、俳優さんってこんなことまでできるのと驚くくらい、その話し声は兄に似ていた。
食い入るように篤さんを見つめると、篤さんは、私の目を隠してもう一度兄の真似をする。
『瑞希、そんな辛そうな顔をするなよ。今日は誕生日だろ?』
目を閉じると兄の気配まで思い出して、閉じられた瞳から涙が滲んで溢れる。