トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「お兄ちゃんって、彼女いたよね。
大学の頃とか……高校のときも別の人がいた。何人か変わってたかなー。
手紙には私のことずっと好きだったみたいに書いてたくせに。」
触れられたくない話題なのか、兄がまた渋い顔になる。
「急に昔の話?
そんなに何人も付き合ってないけど……
他の人に目を向ければ瑞希のこと考えなくて済むかと思ってた時期があって。
でも結局うまくいかなくて、彼女になってくれた人には悪いことをしたと思ってる。」
「そうだったんだ。
私ね、家にお兄ちゃんの彼女が来たとき、私に挨拶してくれても
『こないだは別の女の人が来てたよ』
って言ったり、わざと違う名前で呼んでみたり、それがお母さんに見つかって物凄く怒られたりしたんだよね。
性格悪いでしょ。」
兄が小さく苦笑いする。
「初めて聞いたよ、意外な過去だな。でもそんなのは可愛げの範疇だと思うよ。」
「そう? じゃあお兄ちゃんに引かれそうな話にするね。」
「多分そんな程度では引かないよ。」
大学の頃とか……高校のときも別の人がいた。何人か変わってたかなー。
手紙には私のことずっと好きだったみたいに書いてたくせに。」
触れられたくない話題なのか、兄がまた渋い顔になる。
「急に昔の話?
そんなに何人も付き合ってないけど……
他の人に目を向ければ瑞希のこと考えなくて済むかと思ってた時期があって。
でも結局うまくいかなくて、彼女になってくれた人には悪いことをしたと思ってる。」
「そうだったんだ。
私ね、家にお兄ちゃんの彼女が来たとき、私に挨拶してくれても
『こないだは別の女の人が来てたよ』
って言ったり、わざと違う名前で呼んでみたり、それがお母さんに見つかって物凄く怒られたりしたんだよね。
性格悪いでしょ。」
兄が小さく苦笑いする。
「初めて聞いたよ、意外な過去だな。でもそんなのは可愛げの範疇だと思うよ。」
「そう? じゃあお兄ちゃんに引かれそうな話にするね。」
「多分そんな程度では引かないよ。」