トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
兄は余裕のありそうな顔で見てるけど、本当に大丈夫かな。


「それなら、最近の話ね。

お兄ちゃんの入院中の洗濯物は洗う前に匂いを嗅いでたんだけど、」




「え。」


ほらね。引いた。


でも兄の引きつった顔に構わず続ける。


「でも急にお兄ちゃんが居なくなっちゃったから、

最後に持って帰った分は勿体なくて洗ってない。」


予想通り兄は、ぎょっとした顔になって額を押さえた。


「ちょっと待て汚いって! それ一ヶ月以上経ってるだろ。

すぐに捨てて。」


「やだよ勿体ない。顔をすりすりしてからじゃないと寝れないんだから。」


「止めとけよ……。」


何言ってるのという顔の兄に、むしろ満足する。


「お兄ちゃんが降参してくれないと、私の酷い話をずっと言わなきゃいけないんだけど。

どこまで話せば、私の内面が綺麗じゃないってわかってくれるのかな。」
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