トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
軽く唇を噛まれ、体の内側から食べられているかのように激しく口の中を舐められていく。



もう何も考えられない。


いつしか両手を兄の首にかけ、自分からも舌を絡ませて兄の感触を受けとめていた。



「はぁ……ぁ……んっ!」



体の熱がとけて溢れていく。背中から痺れるような感覚は、もはや全身を支配していた。



唇が重なる角度が変わり、背中がソファに沈んだ。


兄の唇が首筋に移り、熱を散りばめるように口をつけ、吐息が熱く降りかかる。



「っ……!」



無意識のうちに足を動かして、サイドテーブルに当たってしまった。




……パタっと小さな音がして、写真立てが倒れた。二年間に他界した両親の写真……
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