トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「んっ……お兄ちゃん………」



「ごめん……意地悪し過ぎたな。」



「え?」



どうして止めてしまうの。今さら急に止めるなんて、もっと苦しいのに。


止めないでと言いたいけれど、苦渋に染まった兄の顔を見て何も言えなくなった。



「……こういうことは恋人以外とするなよ。いいな」



「まだ一緒にいて」



でも兄は私の髪を撫でると、壊れ物を扱うように私をソファに寝かせて体を離した。


「ごめん。」


それだけ言うと、兄はリビングから出ていった。
< 26 / 235 >

この作品をシェア

pagetop