トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
そう言われて、今さらのように気がついて慌てる。


「あのっ、いつからこちらにいたんですか!?」



「ん?『嫌だ、やめて』って拗ねてたところからかなー」



「最初から、全部見てたんですね!?」



「だって、あんまり真剣だったから。途中で消しちゃ悪いかなと思って。」



悪びれもせず、そんなことを言う。



「さすがに泣いちゃうとは思わなかったけど。」



そう言ってまだ私の瞳に残る涙を指先でそっと拭った。
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