トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「お待たせ」



車内に入ると、篤さんがアイスティーを手渡してくれる。


「ありがとうございます。そういえば喉カラカラでした。」



「撮影中も水分取ったけど、やっぱり口の中が甘いよなぁ。」



「そうですね、チョコで……


でも私は篤さん程は食べてないけど、

…………!」



口が甘過ぎる理由を思い出して、顔が赤くなる。



さっきのキス。お願いだから今フラッシュバックしないで。



篤さんも、私の態度で赤面の理由がわかったようだった。



「馬鹿。


そういう反応するな、俺まで照れるから。」



からかわれるのかと思ったのに、篤さんまで困った顔になるのが意外だった。



居心地悪そうに帽子を取って、髪の毛についた癖をがしがしと崩している。
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