トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
そして、今日届いた文書は明確な強迫だった。


『警察に届ければ全てを拡散する


いつでもお前を見ている』



冷静に見てみれば、他よりも情報の多い脅迫文だ。


まず、犯人は警察を恐れている。


そして『拡散』という言葉から、ネットに公開できるような情報があることを匂わせている。



そのデータをどういった方法で集めているのか。



鞄から様々な機材を取り出し、家の中を調べる。


余計な心配であってほしい。その願いを嘲笑うかのように、リビングから盗聴器の反応が検出された。



犯人はこの空間にまで土足で悪意を送りつけたのか。



卑怯な手段で瑞希を脅す奴を、必ず後悔させてやる。拓真は酷薄な表情を浮かべて犯人への報復を誓った。
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