トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「瑞希、大事な話がある。

まずは落ち着いて聞いてほしい。」


声を外に漏らさないように、万が一にも盗聴器に拾われることのないように、シャワーを捻る。


「どうしたの?」


「瑞希が出演したCMの件で、ちょっとした嫌がらせがあったんだ。」


「えっ? 嫌がらせって?」


急いで瑞希の口をふさぐと、彼女の瞳が不安げに揺れた。


「悪い、今は大きな声を出さないで。


さっき調べたんだ。リビングのどこかに盗聴器があるから。」


瑞希が声にならない悲鳴をあげて体を震わせた。


恐怖で冷たくなった彼女の体を暖めるためにシャワーの下に連れていき、その薄くて華奢な肩を抱き寄せる。


「お兄ちゃん、そうしてると服が濡れちゃうよ……」


「構わない」


瑞希の震えを押さえ込むように腕の力を強める。


「瑞希は何も心配しなくていいから」
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