トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
その後、盗聴器の場所を念入りに調べ直すと、リビングに置かれた瑞希の鞄の中だとわかった。



瑞希の外出中に仕掛けられたと見て間違いないだろう。家の中に侵入されてはいないので、その点は安心できた。


今日はもう遅いから寝ようと告げると、瑞希がノートを片手に近づいてくる。筆談したいようだ。


(一緒に寝ていい?)


ノートを見せられて、思わず固まった。


(恐くて寝れそうになくて)


それは分かる。分かるけど、俺をそんなに信頼されても困る。


(お互い大人なんだから良くないだろ)


だいたい、さっきの浴室でだって理性を総動員して堪えていたのに。


今だって瑞希の濡れた髪や肌、体のラインが目に焼き付きて……


(わたし、お兄ちゃんなら平気だよ)
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