トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「……っごめん、瑞希。こんなことして……」


髪が汗ばんだ首筋に張り付いて、白い肌が一層艶かしく浮かび上がっていた。


瑞希は、熱っぽく潤んだ瞳で俺を睨む。


「……なんで……謝るの。


私さっき、お兄ちゃんなら平気って言った。


そういう意味で言ったの。


……ほんとは期待してた。今みたいに……触ってもらうのを。」



鼓動がドクッと脈打った。


「私、ずるいから、お兄ちゃんは怖がってる私を放っておけないって知ってて我が儘を言ったの。」



そんなこと……。



「好きなの


もうどうしようもないの」



「瑞希……」



このときの喜びを、俺は一生忘れることはないと思う。



ずっと瑞希を想ってきたと告げて


キスをして


欲するままに瑞希を求めて


彼女の躰を溶かして


爪先まで全部、俺の感触で埋め尽くすように


…………そんな幸福な夢を一瞬だけ見たけれど。
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