トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
食事が一段落したところで、今日の予定を瑞希に伝えた。


「……篤さんに会うの?」


瑞希が驚いて聞き返す。焦っているようなので、その理由を色々と勘繰りたくなる。


「会いたくなさそうだな」


「別にそういう訳じゃないけど……心の準備っていうか。」


心の準備?


篤に対して何か特別な事情があるようで、その様子に胸がちりちりと疼くのを感じた。俺に嫉妬する資格など無いのだけれど。


「篤は……俺が側に居れない時に瑞希を守って貰うために事情を説明しておきたいんだ。篤なら、頼りになるし。」



「お兄ちゃんは本当に、篤さんのこと信頼してるんだね。」


「うん、そうだな。逆に言えば、俺と篤以外の人間は全部疑って欲しいくらいなんだ。


この嫌がらせは内部スタッフの犯行の可能性が高いから。


だから、少数でいいから確実な味方が欲しいっていう事情もある。」
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