絶対、好きになれない。
「いや、俺が悪かった。百合ちゃんが俺に心開いてくれたのって、俺のこと信用してだよね?だから友達になってくださいって、真剣に言ってくれて、それで過去のことも話してくれた。」

よみがえる懐かしい記憶。
あの、東雲先輩に変装がバレた翌日だった。

ふたつの、違うわたしを
すぐに見分けてくれたのにも、
理由を執拗に聞かずに微笑んでくれたのも、
誰にも言わないからって安心してと
いってくれたことも。

全部のパーツが揃ったからこそ
わたしは思わず自分から頼んだんだ。

友達になってくださいって。

でも、こっちの勝手な想いだもんね。
先輩だって
本当はこんなお荷物背負いたくなかったかも。
聞いて損したって思ったかもしれない。

そんなこと考えたことなかった。

わたし、自分のことばっかりだ。
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