絶対、好きになれない。
「お邪魔しました。」

「またぜひ遊びに来てくださいね。」

お母さんとわたしは玄関先から
彼を見送った。

いつも通りに玄関の戸が閉まるまで
バイクに跨って見つめてくれていた。

優しい先輩。

ーーーバタン、と戸が閉まった。

「ーーーっ」

その後に見せた先輩の苦い顔を
わたしはドア越しには見ることはなかった。

....

このときに、
わたしは全然気付かなかった。
無意識のうちに
先輩にとって、
わたしは壁を作ったように感じてたなんて。

「友達」以上を求めることで
わたしたちの関係が不安定になるなら、
「恋人」を望むのをやめよう、と

優しい優しい先輩が
まさかそこまで考えてくれてるなんて
わたしには気付かなくて。

結局先輩を追い詰めていたのは
わたしだったなんて。

そんなことを知るのは、もっともっと先。
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