絶対、好きになれない。
『叶くん、わたし好きな人なんてーーー』

「東雲先輩、でしょ?」

え?と再度彼の言葉に問いかける。
そんなこと、言ったっけ。
友達として好きっていったことを
勘違いしちゃってる、とかかな。

「え、違うの?」

一番驚いたリアクションをしたのは
「わたしの好きな人は東雲先輩」と
言及した本人の、叶くんだった。

「あの日迎えに来てくれたとき、すごく嬉しそうだったよ?もしかして、自覚ない?」

あの、海の日の夜のこと、だよね。

「聖さ、もしかしたら言わなくてもいいこと言ってるかもな。彼女、もしかして気付いてないんじゃない的な?お前はお人好しか!」

「自分の好きな人の好きな人くらい、なんとなくわかるよ、見てたら。」

『えと、待って!わたし、東雲先輩のこと、その、好きって友達としてでーーー』

ドーンと遠くから花火の音が聞こえ始める。
< 109 / 136 >

この作品をシェア

pagetop