絶対、好きになれない。
『あっ、もうこんな時間ーーー』

もう6時。
家族が心配し始める時間帯だった。

「行こう。送るから!」

そう言って伝票を持つとお会計しに行った。
後から追いかけてレジに向かったが
すでに払ったあとで。

『あ、いえ、こちらが誘ったんですし、ご馳走させてくださいっ。』

そう言いながら彼が店を出る。

「男ってね、気になる子にはカッコつけたいもんなんだ。それに俺年上でバイトしてるしさ。」

とウィンクする。

ありがとうございます、と頭を下げる。

話してしまったからか
なにも嫌悪感も抱かずに隣を歩いた。

「それにしても大変だったね。俺も、いろいろ苦労はしたけど、比じゃない。辛かったね。」

あ、頭ポンポンもだめか、と
出し掛けた手を引っ込める東雲先輩。

優しい、んだな。
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