絶対、好きになれない。
「乗れる?」

駐輪場に停めてあったバイクを指差して
彼は少し不安げにきいた。

『乗ったこと、ないです。』

「送るよ。バイクが嫌なら、歩いてでも家まで送る。」

『そんな!悪いです!』

「話聞く前から美人は大変なんだろうなって思ってたけどさ。聞いたら想像以上だから、送らないなんて選択肢はないよ。友達なんだからさ、頼ろ?」

切なげに首をかしげる先輩。

『ありがとうございますっ!』

恵まれてるな、わたし。

「初体験してみる?」

嬉しそうにヘルメットを二つ持ってる先輩に
わたしは、はいっ、と笑いかけた。
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