絶対、好きになれない。
「笑顔が見れて、よかったよ!」

にっこり微笑む彼。
わたしはつられて微笑む。
このひとは魔法みたいだ。

会ってから2回目だとも思えないくらい。

「じゃ、家に入るの見届けたら行くから。」

手渡ししたヘルメットを受け取り、
軽く手を振る彼に
わたしはぺこりと頭を下げながら
玄関の扉を開けた。

バタン、と戸を閉めた瞬間、
ブルン、とエンジン音がして去って行った。

ちゃんと閉まるまで、
そのときまで待ってくれるなんて。

「おかえり、百合ちゃん。」

『ただいま。』

「あら、百合ちゃん、なんだか楽しそうね?嬉しいことでもあったの?」

『うんっ、素敵な友達ができたの。』
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