絶対、好きになれない。
英語の授業中。
窓をのんびり眺めながら聞いていると、
なあ、と隣から声が掛かる。
聴き心地のいい声。

あ、そっかーーー

叶くん。

こないだの電車でもだけど、
生理的に拒否反応を起こさなかったのは
本当に叶くんくらいだ。

東雲先輩でも、初対面の時
顔が近いだけでもすごく気分悪かったし、
話なんてまともにできなかったのに。

『どうしたの?』

「悪い、教科書わすれた。見せてくれ。」

『どうぞ。』

そっと教科書を彼とわたしの境目にやる。

仏頂面に
ぶっきらぼうな喋り方なのに
なんだか気に障らない。

媚びた感じも、調子のいい感じもしないし、
なんとなく波動が好きなのかな。

不思議だなあ。
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