絶対、好きになれない。
「俺、西中に好きな子がいたんだ。」

わたしの出身校だ。

「通学の電車で一緒にだったみたいで。妊婦さんに席を譲ったり、老人のひとの話聞いたり。すごく親切な子だった。」

普段静かな叶くんが、淡々と話す。

「その子の名前が、高峰百合だった。」

わたしーーーだ。

「初めて名前聞いたときから、雰囲気は違うけど、同じひとなんだってわかって。だから。」

『叶くん?』

突然、彼の冷たい手がわたしのほおを触れる。

「好きなんだ。」

ドキン

「俺の彼女にならない?」
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