絶対、好きになれない。
「まあ、あたしはいいんだけど、さ。」

なんとなく意味を含めた感じで
才加は話を濁した。
わたしは気にしないふりしてそっぽを向く。

ガタンガタン

揺れている電車の中で
女の子たちの視線の先には噂の男子。

『あ、才加。また居るよ?』

目線をそちらに送ると
才加はわたしの後ろに隠れながら
こそこそと彼を見つめる。

「うわっ、ラッキー!やっぱこの時間かっ」

才加が入学してから
毎朝ちゃんと遅刻せずに迎えにくるのは、
彼に会いたいためらしい。
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