絶対、好きになれない。
「わ、ーーーっ!」

ざわざわが酷くなる。

「なんで隠してんの?あんた綺麗じゃん。」

安達さんが目を丸くして驚いたのと同時に
周りの人たちも一歩牽制する。

ドタドタとクラスに走ってきたのは
親友の才加だった。
わたしの近くに駆け寄ってきて抱きしめた。

それと同時に涙が溢れてくる。

「ごめん、もう庇えないから話すよ、百合。」

耳元でそれだけ言うと、
才加はみんなに聞こえるように大きな声で
話し始めた。

「百合はね、この外見のせいで、たっくさん傷ついてきたの。誘拐とかそういう事件にもあってこわい思いばっかりしてたの!だから、だからね、こうやってわざわざ隠して生活することで、普通にできてたの!」

たったの1ヶ月くらいだったな。
この生活も。
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