絶対、好きになれない。
「高峰。」

海をぼーっと眺めていると
隣に海パン姿のすこし髪の毛を濡らした
叶くんが座った。

「飲む?」

美味しそうなパインジュース。炭酸だ。

『あ、いただきます。』

「楽しい?」

『うん、来てよかった。』

そっか、と口元をゆるめる叶くん。

『あ、でも叶くん、苦手だったんだね。こういうところ。知らなかった。』

今では敬語なしで
だいぶフランクに話せるようにもなった。

「うん、けど、高峰に会いたかったし。」

ドキン

じっと見つめられる。
目があったまんまのわたしと叶くん。
そ、逸らすタイミングがわからないよ。

「好き。」

ドキン

「高峰が好き。」

電車の中で中学の頃から見てくれてて、
隣の席になった高校のはじめからも
わたしだろうと思って気に掛けてくれてた。

まっすぐな視線。

からみつくような視線。

外せない。
逃げられない。
でも、もう怖くはなかった。
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