絶対、好きになれない。
「百合ちゃんは鈍感だから俺の気持ちなんて、これっぽちも考えたことないだろうけど。俺も本気出してもいい?」

え?
顔が近づいて来て先輩の顔が
わたしの目の前にきたとおもった瞬間。

ちゅ、とわたしの唇のすこし横に触れた。

「いつまでもお人好しのお友達なんてしたくないんだよね。俺、女の子にこんなに夢中になったことないし。」

放心状態のわたし。
なのに、心臓のドキドキは止まってくれない。
まじまじと至近距離で見られてる、
その感覚が恥ずかしくて火を噴きそう。

いつもニコニコの先輩が
「ひとりの男の人」の顔をしてるーーー

ドキン

怖かったはずなのに
これって、ときめいてるってこと?

「俺は百合ちゃんが好きだよ。さっきの彼の告白なんて上書きしてやる。俺しか見なくていい。つぎ、無防備な顔してたら、ーーーキス、するからね。」

意地悪に微笑むと
先輩はあとで、とわたしのそばを離れていった。
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