絶対、好きになれない。
少し照れ臭そうにしながら話す東雲先輩。
わたしはキュン、と胸を締め付けられる。
わたしは今、どんな顔ーーーしてる?

「百合ちゃんは、誰が好き?」

好きってどうしたらわかるの?

「叶聖のこと、気になってる?」

眉毛をしかめて苦しそうに話す東雲先輩。

「俺のこと、ーーー好きじゃない?」

いつも、楽しそうに話してる彼が
ぽつりぽつり、と
海の音にかき消されそうなくらい
小さな声で話す。

『先輩のこと、信頼してます。すんごく居心地いいって思ってます。ありがたいなーって思うし、これからも仲良くしてもらいたいです。』

けど?

「ーーーそれが形を変えることはないの?」

かたち。

「俺に、触れたいって思わないの?」
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