絶対、好きになれない。
いられそう、なのに
なんでわたしは叶くんの告白を受けれないの?

不思議な疑問が頭の中にたくさん浮かぶ。

と、ブルンブルンと
聞き覚えのあるバイク音が鳴り響く。
わたしと叶くんの顔をライトが照らすと、
まもなくしてエンジン音とライトが止む。

『東雲先輩っ。』

バツの悪そうな先輩がヘルメットを脱いで
叶くんとわたしを眺める。
なんか、すごく、不機嫌そう。

「じゃ、高峰。俺は帰るから。」

またな、と言ってやんわり微笑むと
東雲先輩のほうをみて、頭を下げて
その場から立ち去った。

『送ってくれてありがとう!』

少し離れたところにいる叶くんに
届くくらいの声を掛けた。

街灯のないところで消えていく影。
そして、わたしと東雲先輩を照らすあかり。
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