赤い刻印 - Secret Love -【続編】
おばあちゃんのその言葉にドキッとする。

「みんな隠してくれているけど自分の体だから分かるよ」
「そんなこと…」
「せめて2人の結婚式を見たかったわ」
「…」
「一沙ちゃんの花嫁姿、きれいだろうね」

そう言って切なそうに微笑むおばあちゃん。
私は涙をぐっとこらえておばあちゃんの手を握り締めた。

「そうだ。あれを渡さないと」

そう言ってサイドテーブルの引き出しを開けた。
おばあちゃんが取り出したのは赤色のジュエリーケース。

「これを一沙ちゃんに」
「何?」
「開けてみて」

少し古びたジュエリーケースを開けると、赤い石が埋め込まれたシルバーリングが入っていた。

「指輪?」
「それは明仁のお母さんの形見よ」
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