赤い刻印 - Secret Love -【続編】
「2人ともありがとな。今度飯でも奢らせてくれ」
「マジで?香川、村ちゃんが高級焼肉奢ってくれるらしぞ」
「やったー」
「高級とは言ってない…」

そんなやり取りをしていると、会議室のドアが開いてうちの母親が顔をのぞかせた。
どうやら最後まで見てくれていたらしい。

気を遣ってくれたのか、香川と文幸が会議室を出て行ってしまった。
部屋の中には私と先生と母親の3人だけ。
何とも言えない重苦しい空気が漂う。

「今日はお忙しい中ありがとうございました」

沈黙を破ったのは先生のそんな言葉だった。

「おばあちゃん喜んでくれて良かったわね」
「はい」

次にどんな言葉がくるのがドキドキしていると、
意外にも母親は笑顔で私のほうを見つめてきた。
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