赤い刻印 - Secret Love -【続編】
そんな彼女が私の名前を覚えていてくれたのは意外だ。

「矢沢さんは料理上手だったからよく覚えてるわ」
「嬉しいです。先生はどうしてここに?」
「森田先生は私の恩師なのよ。今は大学の研究室で働いてるんだけど、急病ってことで臨時講師を頼まれちゃって」
「そうなんですか!びっくりしたー」
「短い間だけどよろしくね」

美雪先生はあの頃とほとんど変わっていない。
少しウェーブのかかった髪に大きな瞳。
上品な雰囲気が漂う大人の女性だ。

「そういえば…」

美雪先生が何かを思いついたように微笑んだ。

「矢沢さん、いま明仁の"彼女"なんだってね?」
「…!!」

彼女の口から出た"あきひと"というワードに動揺を隠せない。
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