さよならの時まで、笑顔で
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やっぱり、好きな人と少しでも長く一緒にいたいんだよー。



それが例え、もう交わることのない運命でもーー。



「....っ、玲香ちゃん。
僕は、少しでも長く君に生きてほしいと思う。
でも、患者の願いを聞き入れるのも、僕の仕事だと思ってる。」



「はい。」



「後悔は、ないね?」



私は、服の裾で涙を拭い、先生の目を見て、コクリと力強く頷いた。



「ただし、少しでもおかしいと思ったら、すぐに病院に来ること。」



それが約束だよ。と、先生と指切りをして、少しお母さんと話したいと、ふたりで部屋を出て行った。

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