さよならの時まで、笑顔で
.


「いろいろ、だよ。」



「なによ、それ」



お母さんは、目尻を少し下げてクスクスと笑った。



お母さん。



本当は、知ってるよ?



さっき、泣いたんだよね?



だって、目が真っ赤だもん。



「お母さん、弟か妹どっちかな?」



「ふふっ、どっちかしらね?」



わざと話を避けて、お母さんの出ているお腹をソッと触る。



来年の春頃に生まれてくる弟か妹。
性別は、生まれるまでは聞かないことにしたらしい。



そっちの方が、ドキドキするからって。



私は、会うことができるかな?

.
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