さよならの時まで、笑顔で
.



「真海と尚人くんは?」




私、倒れちゃったから、もう帰っちゃったかな?




「外で待ってるよ。」



「外、で?」




なんで?




「真海がな、玲香にどうしても会いたいって。
だから、連れてきたんだ。
そしたら.......ごめんな。」




悔しそうに自分の唇を噛んだ。




私は、指先でひーくんの唇をソッとなぞる。




「噛まないで。ひーくんのせいじゃないよ。
ちょっと、いきなりでびっくりしちゃっただけ。
私、真海と話したいな。」




だから、呼んできて?




そうひーくんに言うと、私の体を強く抱きしめて、頬に唇を落としてから、真海を呼びに行った。

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