十色スタッカート
「……」
「……」
そんな龍司君の優しさに甘えていたから、私から話題を振ると言う動作が取れない。
掴まれた腕が解放されて再び席に座ったけど、重〜い沈黙が教室内に充満している気がする。
なんとかしないと、こんな空気のまま3日間が過ぎてしまう。
突然現れたせっかくのチャンスだ。
どうにかして龍司君の正体を暴きたい。
「りゅ………赤根君は、」
「…」
「ね、猫が好きなんですか……?」
めちゃくちゃ頑張って提供した話題。
昨日彼が読んでた本を思い出してこの話なら私にも出来る!と思い立った。
お母さんが猫好きでウチにも3匹いるからある程度の事なら共感出来るはず。