オオカミ社長は恋で乱れる

そしてさっき先生に断った保護者会への不参加に後悔の念から、休みを調整できたかな？と考え事をしながらボーッと自転車を運転してしまい、赤信号に気付かず通りに出た所で突然見えた車に驚き、接触して自転車ごと倒れてしまった。

「あっ！」

声を上げると共に地面に手と膝を打ち、お尻を打ち付けた。

痛い！と感じるが声が出ない。

すると目の前の車から誰かが飛び出て来た。

「大丈夫ですか！」

私の側に駆け寄って来た男性は、自転車に潰されて倒れている私から自転車を外してくれた。

「あ・・あの、すいませんでした」

完全に私の不注意運転なので急いで謝ると、もう一人男性が声を掛けてきた。

「大丈夫か？」

その低く響く声にビクッとして見上げると、険しい顔をした威圧感のある瞳で私のことを高い位置から見下ろしている。

先に声を掛けてくれた男性の「社長！」と驚いた声も聞こえた。

社長？その単語に驚いて、つい目の前の男性を凝視してしまう。

こんなに若い人が社長？

私そんな人の車にぶつかってしまったの？

「・・す・・・すいません」

たじろいで声が小さくなる。

そんな私の顔を何故かジッと見たまま動かないその人に、戸惑いながら問いかける。

「あの・・あの、すいませんでした」

私の声に目の前の男性はハッとし、すぐに視線を逸らした。

「すまない！ああ、大丈夫か？」

「はい、申し訳ありません！私、あのボーとしていて・・」

「足、怪我しているな」

私が答えている途中遮ぎるように声を上げ、膝に触れてきた。

そう言われて左膝を見ると、ベージュ色のチノパンに血が付いている。

「あっ！」

「痛いか？とりあえず病院へ行こう」

そう言われて焦って両手を振って拒否をした。