失恋覚悟のマイヒーロー
──52番、53番



あたしたちふたりの番号が呼ばれた。



「呼ばれた!な!」



あたしの肩を叩いて喜んでいる。



「うん、よばれたね」


「なんだよ、もっと喜べよー」


「はは。なんかびっくりしちゃって」



そんなに嬉しいのか、ここを卒業できることが。
そんなに嬉しいのか、東野さんに想いを告げることが。



「なんでだよ、べつに運転も大丈夫だっただろ」


「はは、なんでだろうね」



寂しいなんて、言えない。
泣きそうになってしまうから笑って誤魔化すことしかできない。

昨日の夜に荷物をまとめてるときからもう泣きそうだった。



「結城?」



あたしの顔をのぞき込んでくる。



「な、なに……」


「なんか様子変だからさ」


「普通だよ!」



なんで、気づくのよ。
いつも何も気づかないくせに。



「ま、いっか。卒業式行くぞ」



あたしの髪の毛をくしゃっと撫でて、歩き出す。

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