失恋覚悟のマイヒーロー
「はやく荷物おけよ。あと10分で集合だろ」


「あっ!」



いまは四の五の言ってる場合ではない。
目の前のこの性格悪そうな男のことは空気とおもえばいい。

17日間我慢すればいいだけだ。



「どうして、あたしこの部屋に……?」



荷物を部屋の隅において、どうしても気になっていたことを尋ねる。



「俺が名乗り出たから」


「え?」


「紫が困ってたから。締め切り後にきたけど、どうしようってな」



それを思い出したように言う彼はとても優しい顔をしてて。

その姿にとくんと胸が高鳴った。

さっきはよく顔を見てなかったけど、この人かなりのイケメンだ。
少しの間とはいえ、こんなイケメンと一緒の部屋なんてラッキーなのではないだろうか。


……でも。



「あなたは、東野さんのことが好きなの?」



だから、東野さんが困ってるから手を差し伸べるの?



「あの人のこと忘れたことなんかない」



少し遠い目をして、寂しそうな彼に胸が苦しくなった。

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