失恋覚悟のマイヒーロー
「ごめんね?あたしのせいであんな勘違いされちゃって」



1日のスケジュールが終わって、夕食の時間。
自然と隣になった更科くんに頭を下げる。



「は?あんなん勘違いなんかしてねーよ」


「え?」


「紫は俺の気持ちなんかとっくの昔に知ってるよ」



夕食のカレーを頬張りながらそう話す。



「やっぱり気づいてんだ……」


「昔から俺言ってるからな」


「東野さんとは……?」



更科くんはあたしの同い年だと、彼のファンの子たちがさっき話してたのが聞こえた。
だから、年齢も違うし、接点が見つからなかった。



「家が隣のおねーさん」


「……幼馴染ってやつ?」


「だね。で、あいつの就職で離れちまってさ」



話しながらもカレーを食べる手は止めない。
辛い片思いを思い出してるように感じる。



「そっかぁ」


「だから、この合宿に来たんだよ」



胸がズキズキするのは何故だろう。
ただ、かっこよくてラッキーってくらいにしか思ってなかったはずなのに。

一途に1人の人を思うこの人のことを

──愛しい。
素直にそう思った。

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