2度目の初恋も、君とがいい
「だってこの前聞いたら違うっていうし……でも、あの時の寂しそうな顔は……」


「ばーか。もし本当にそうだとしても、千花が気にすることじゃねぇだろ」



明日汰があたしの頭をぽんっと叩く。



「……うん」


「千花がそんなふうに気にしてたら、日奈子も気にするからやめろ」


「わかった……」



納得なんていかないけど。
そう言われたって日奈子が永人を好きだった事実も、明日汰を好きな事実もなくなったわけではない。



「ほら、今日はキャッチボールな」



カバンからふたつグローブを出して、片方をあたしの手に乗せる。



「なんでふたつもってんのよ……」



明日汰との練習は今日決まったのに。
それに、どうしてあたしにちょうどいいサイズなのか。



「昨日、千花がソフトボールになったの知ったときから放課後誘うつもりでいたんだよ」



少し照れくさそうに頭をかく。



「え?」



心なしか明日汰の頬が赤くなってる気がして、あたしの胸の鼓動も少し早くなる。

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