2度目の初恋も、君とがいい
「別にどうするつもりもねーよ」



グローブであたしの頭をパコンと叩く。



「明日汰?」


「ソフトボールって知ったとき、チャンスだと思った」


「チャンス……?」



少しずつ現実味を帯びてくる。
さっきの明日汰の表情の理由。



「練習してる時だけは、千花のこと独り占めできる」



満面の笑みで笑ってから、少しあたしから距離を取ったところへ走っていく。



「なに……それ」



明日汰にこんなこと、言われるなんて思ってなくて。
小さく呟くけど、当然明日汰には聞こえない。



「ほら、いくぞ」



少し距離をとった場所で明日汰がボールを持って構える。



「う、うん……」



本当はまだ、キャッチボールなんかできる感じじゃないけど。
それを悟られないように、あたしもグローブを前に出してかまえる。

次の瞬間、明日汰から放たれたボールは弧を描き、あたしの場所までゆっくりと飛んでくる。


──パシッ



明日汰から放たれたボールはあたしの構えたグローブに気持ちのいい音を出して入ってきた。

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