2度目の初恋も、君とがいい
「ナイスキャッチ!今度は俺に投げてこいよ」



笑顔で両手を上げている明日汰。



「うんっ」



今度はあたしが、明日汰のグローブ目掛けてボールを放つ。



「あれっ」



イメージしたような弧は描けず、明日汰の少し手前で失速してしまった。



「はは。これから、これから」



優しくわらって、あたしの前に歩いてくる。



「千花の場合は手投げになってんだよ。腕全体使ってさ。ボール握ったまま腕を何回か回してから投げてみ」



あたしに見本をみせるように腕をグルグルとまわす。



「こう?」



明日汰からボールを受けとって、見よう見まねで腕をまわす。



「そうそんなかんじ。俺あっち行くから、腕全体使ってな?」



ぽんっとあたしの背中を叩いて、またさっきの位置まで走っていく。



「すげぇ!千花!飲み込み早い!」



あたしの投げたボールは今度はイメージ通り、明日汰のグローブに収まった。



「明日汰の教え方がうまいんだよ」


「野球部冥利につきますわ」



へへっと笑った明日汰とのキャッチボールは部活が始まるでの15分間続いた。

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