2度目の初恋も、君とがいい
「はやくいこう!」



少し大きな声が出てしまったけど、構わずに瑠衣くんの手を掴んで歩く。



「おいおい、手繋いじゃってる俺ら」



なんて冗談めかして言う瑠衣くんのことは構わず、駐車場まで早歩き。



「これだよ、ちょっと待ってね」



駐車場に入ってすぐ目の前の車を指差して、あたしと瑠衣くんの手は離れる。

すぐにキーをかざしてドアを開けてくれる。



「どうぞ、お嬢様……あ、お姫様のほうがいいかな?」


「もう、なんかおじさんになった。ほんと」


「こらこら、まだ俺は24さいよ?」



くしゃっとひと撫でして、あたしが助手席に乗るとドアをしめてくれる。

まわりにはもちろん、車を持ってる人なんかいないので変な感じがする。



「おい、千花」



エンジンをかけた瑠衣くんがあたしの名前を発する。



「ん?」


「見てるぞ」



瑠衣くんの言葉にフロントガラスを見ると、いつの間にか駐車場の前にきていた永人と日奈子。



「いいから行って」



いまはもう、二人を見てることはできないから。
二人に視線を合わせることないまま、瑠衣くんの車は発車した。

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