2度目の初恋も、君とがいい
「あいつに何の用だよ?」



瑠衣くんの名前に顔をしかめる永人。



「なんでもいいでしょー」



チョコレートを渡しにいくなんて言えない。
だって、バレンタインを忘れてた女なわけだから。



「早く帰ってこいよ」



ムスッとした顔のままの永人に見送られて、巾着袋を持って教室をでる。

気にしながらも深く追求しないでいてくれるのは、永人の本当にいいところだ。



「渡したかったけど……」



巾着袋に入っているひとつのチョコを見つめる。

……だったら渡せばいい。
そう言われるかもしれない。

でも、自分に自信がなさすぎる。
そんなあたしが小さい頃以来のほぼ初に近いチョコを作ったんだ。

本当はさっきのトリュフみたいなものを作りたかった。
でも、ほぼ初心者のあたしにはやっぱりレベルが高くて。

あたしが作ったのは、溶かしたチョコに刻んだコーンフレークを入れて製氷機で固めただけのいわゆるクランチチョコ。

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