2度目の初恋も、君とがいい
『千花?いま学校?』



当然早退をしたことを知らない瑠衣くんがそう聞いてくる。



「家にいる」


『え!?もう!?』


「早退しちゃった」



なんだか学校の先生にこんなことを言うのは申し訳ない気がする。
でも、瑠衣くんは先生というよりもお兄ちゃんだ。



『具合でも?』



心配そうな声になる瑠衣くん。



「ちょっとね……」


『永人くんか』



「……っ」



あたしの言葉に全てを理解したらしい。



『仕事もう少しかかるけど、用事あるしあとで行くから』


「え?」


『どうせまたうまく泣けてないんだろ』


「瑠衣くん……」



どうしてこの人はこんなにもあたしのことがわかるのだろう。

たしかに泣くことは泣けるし、涙も出るけどだしきれない。
どこか抑えてしまう自分がずっといる。
あのバレンタインから。

永人があたしのことを見てくれてないのが、こんなにも堪えるものだとは思わなかった。

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