2度目の初恋も、君とがいい
『ついたよ』



──夜。
寮の前についたという瑠衣くんからの電話に、上着を軽くきて部屋を出る。



「千花」



寮の前に出ると、車によりかかっている瑠衣くんの姿が目に入る。



「わざわざありがとう」


「寒いから車で話そう」



助手席のドアを開けてくれる。



「うん」



そんな瑠衣くんに素直に従って、車に乗る。



「ほら、暖かいぞ」



運転席に乗り込んだ瑠衣くんがあたしに缶コーヒーを渡してくれる。



「あ、ありがと」



受け取った缶は本当に暖かくて、心まで暖かくなりそうだった。



「あ、これ。はい」



ダッシュボードから包み紙を取り出してあたしに渡してくる。




「あ、もしかしてホワイトデー?」


「そ。お返しするのも久しぶりだよな」


「ふふ、そうだね」



小さい頃は毎年当たり前のやり取りだった。
幼いあたしと瑠衣くんを思い浮かべる。

いつだって憧れの人だ。

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