2度目の初恋も、君とがいい
「ちょ、永人!」



そのままあたしの胸のあたりに下がってこようとする永人の頭を必死に抑える。


……寝ぼけてる人って厄介。
いままで、こんな経験がなくてどうしたらいいのかなんてわからない。
でも、今の永人が普通じゃないことはわかる。



「……ちゃん、好きだよ」



名前はよく聞き取れなかった。
でも、誰かの名前をちゃん付けで呼んだ。



──チュッ



誰かほかの人の名前を呼んだ事に呆然としていると、唇に暖かいものが触れた。



「……っ」



一瞬だけ触れたそれは、あたしのファーストキス。



「……バカ」



あたしの唇にキスを落として、力尽きた永人はあたしに覆いかぶさったまま、すーすーと寝息を立てている。

そんな呑気な永人とは正反対に、もちろん初めての出来事にドクンドクンと胸が波打ってる。

キスされたこと自体は全然いやじゃなくて。
むしろ、したかったんじゃないかってくらいで。
永人だからなのかな。

でも、誰かほかの人の名前を呼んだことがショックで仕方なくて。

寝てる永人の体から必死に抜け出して、走って家を飛び出した。



「明日からどんな顔して会えばいいの……」

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